[ 里山25号 ]

漆黒の燻瓦が葺かれました。

里山25号 屋根瓦 01

上棟から間無く淡路島から瓦が届きました。渋い黒の燻(いぶし)が冴えています。外壁工事も屋根下で進んでいますが、まずは屋根瓦の工事模様をご紹介します。

三田に近くほぼ準寒冷地にあたるこの付近では、ほぼ淡路瓦は使用されていません。焼成温度が低い淡路瓦は、吸水率が高く凍害により割れてしまう恐れがあるからです。今回使用の淡路瓦は、この焼成温度が高く吸水率が低いため使用が可能な製品になります。その焼成温度ゆえに一般的な淡路瓦よりもより深く黒い燻色をしています。

里山25号 屋根瓦 02

ルーフィング上に敷かれた瓦桟。昔の瓦は土を載せながら葺かれますが、これは乾式工法と呼ばれる基本的に土を載せない方法。ここに瓦が一枚ずつ葺かれていきます。この乾式工法ができるのはただ簡易にしているという事でなく、瓦が昔とは違い精度がよくなり、形状の進歩より雨が入りにくい構造になってきているおかげです。歪みの多い昔の瓦葺きに、土は傾きの微調整ができる緩衝材の役目を果たしていました。昔の屋根にとって土はそれだけの機能ではありませんが、現在の通気工法等の屋根工法のなかでは屋根荷重を軽減するプラス面の方が大きいかもしれません。

里山25号 屋根瓦 03

敷き並べられた瓦が壮観です。何気に並べられていますが、この瓦のピッチを決めるまでがひと苦労。瓦には色んな規定サイズがありますが、思うほどにルーズに施工できる材料でありません。端から端まで半端なしに綺麗に収めるようとするには、あらかじめ使う瓦を決めることからはじめ、端々の収まり方を決め、軒の出を決め瓦の数を割り出し、野地板面の全体サイズを逆算するように割り出していく必要があります。いつも決まったスタイルがあれば良いのでしょうが、慣れていないとひとつひとつ立ち止まってしまいます。

里山25号 屋根瓦 04

里山25号 屋根瓦 05

軒先の瓦下に土が見えています。精度の上がった瓦と言え、目につく軒先は土を使って丁寧に微調整していきます。

里山25号 屋根瓦 06

まさに瓦らしい甍の波が現れました。瓦の先端に丸い饅頭がついた瓦を「万十軒瓦」と呼び、一般住宅で使われるベーシックなスタイルです。

里山25号 屋根瓦 07

瓦が葺かれると、追っていくように周囲の野地板との隙間を漆喰で埋めていきます。写真の部分は「雀返し」と言います。工事を安価にするための簡易プラスチック製品も瓦の製品によってあります。
それにしても「スズメガエシ」とは風情な言い回しに感心してしまいます。

里山25号 屋根瓦 08

棟の「のし瓦」。たくさん積めば積むほどどんどん豪華に見えていくのですが、やりすぎるとお寺さんみたいになりそうです。何段ぐらい積むか?と聞かれましたが、鬼瓦とのバランスなど見ながら決めてください。と瓦屋さんにお任せしました。

里山25号 屋根瓦 09

気がつけば「鬼瓦」が睨みを効かせています。シンプルな鬼瓦ですが、普段間近で見なれない身には迫力十分です。

里山25号 屋根瓦 11

こちらは玄関ポーチにあたる下屋の軒先瓦の様子です。大屋根に引き続き工事が進んでいます。大屋根の軒先瓦よりも土の量がやや多く見えますが、それには理由がありました。

里山25号 屋根瓦 12

軒先に饅頭がありません。「一文字軒瓦」と言います。瓦の事をあまり知らないと、饅頭がついた方が一見豪華そうにみえますが、実はこちらの方が高い瓦の葺き方です。なぜか?
まっすぐにするのが大変だからです。なんだかんだと言っても一枚一枚曲がったクセのある瓦を綺麗に葺き並べるのは手間がかかる訳です。これが波々だと多少の歪みも気になりませんが、真っ直ぐのラインはちょっと曲がっただけでも失敗したように見えてしまうので、並々ではできないのです。瓦屋さんにとっては腕の見せ所。「同業者に笑われたない」と瓦屋さんがしきりに言っていたのが思い出されます。

里山25号 屋根瓦 13

里山25号 屋根瓦 14

正直なところ和瓦葺きの経験なく図面で描いていた間、瓦の屋根とは一体どんな風に作るのだろう不安なものがありました。アレコレの参考図を睨みながら想像していても、細部となると理解仕切れません。実地に見て、はじめて理解することも多いものでした。ここで紹介できていない瓦屋根を補佐する板金工事も多々ありました。

出来上がると、そんな事はすっかり忘れて、エラいかっこええやん。
代々受け継がれ連綿と続いてきた瓦葺きの技術の一端を垣間見ただけですが、単にスタイルと片付けられないものを感じてしまいます。

里山25号 屋根瓦 15

とうとう漆黒の燻瓦が葺き上がりました。1ヶ月あまり瓦葺き工事は、無事終了。
めでたしめでたし。

いやいや、工事はこれから更に本番へと突入です!


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