道具:色見本帳


画像は日塗工(日本塗料工業会)が発行している塗料用標準色見本帳です。
他にもDIC(旧 大日本インキ化学工業)やPANTONEが発行しているものなどがありますが、建築の現場では概ね日塗工のものが使われています。
*建築の現場でいえば更に各大手ゼネコン等では自社標準色見本帳があったりします。私も何故か某社のものを1冊持ってたりします。
メーカーが出している塗料の既製品色を塗るのであれば必要の無いものとなる訳ですが、既製品色では着色を考えた部位(材料)のイメージする色に合致する事は経験上十中八九ありません。そんな時にこういった色見本帳を使って施主と色を決定していきます。パッと見てたくさんの色がありますが実際に使える(使いたい)色はそう多くなく、多い時で3種類位を候補として決定し現場に伝え、A4サイズ大~の色見本サンプルを作ってもらい現場にて施主とサンプルを確認し最終決定となります。
着色が小さな面積で現場調合で賄える場合は、サンプルを並べてみて「この色とこの色の間の色、作ってもらえませんか」と塗装屋さんにお願いしたりする事も偶にあります。そんな時は調合している塗装屋さんの横に付っきりで「もうちょっとこの色数滴足して」とか「足しすぎた・・すみません、こっちの色を数滴」とか無理を承知で我侭を言ったりします。(あくまで塗装屋さんとの間に信頼関係があった上での話ですが、出来た色に対してとても満足した旨と感謝の言葉を伝えると職人魂が擽られるのか「ええ加減にしてや」と言いながらも案外嬉しそうな事が多いです)
大面積で工場調合(特注)となる場合は当然費用が別途かかりますので注意が必要です。現場内で収まる範囲ではケースバイケースですが私が持った現場では別途費用が発生した事はありません。
そんな色決定に使う色見本帳ですが、最近では既製品部材の出来が良くなったのと同時にカラーバリエーションも結構豊富になったので色見本帳を使うまでもなくカタログで「じゃあ、これ」と終わってしまう事が多くなってきています。既製品とは言え可能な限り部材の現物を現場もしくはショールーム等で確認する事は言うまでもありません。
既製品部材を使う事になった瞬間からそれに合わせてイメージを構築し計画や現場を進めて行くので、特に苦悩なくイメージ通りに空間は出来上がって行くのですが、その結果、職人さんのプライドを見れるやり取りが減っていっている現状が個人的には少し寂しい今日この頃です。

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