PLAN-F

「穏やかな暮らし」の住まい

神戸市街の住宅地に建つ、準耐火建築になる3階建て木造住宅です。高気密高断熱を生かした3階建て住宅を模索しました。1階には玄関・自動車車庫・納戸までの配置とし、2〜3階に主の生活空間をまとめた間取りのため、3階建てでありながらほぼ2階建てのような感覚で日々を過ごせます。

正面の窓は少なく、やや閉鎖的に見られますが、2階には中庭的にバルコニーを配置しているため、思いのほか狭くは感じません。3階のバルコニーとも連続し、南からの採光に内外の壁からの間接光も利用することで、リビングは四季を通じて落ち着いた明るさに包まれ、穏やかささえ感じられます。

一般換気扇を利用した循環空調。

この住まいには、上下階へそれぞれ送風する空調補助の換気扇を装備しています。
ひとつは1階の床付近に設置した換気扇から3階にある2つの寝室まで送風します。空間の続いた3階建てになると上下階の温度差は随分あります。下階にたまる冷気を3階の居室へ吹き出すことで、半?自然な空調設備になり、夏期であれば涼しさも感じられます。

もうひとつは、上部に溜まる暖気を2階へ送り込めるよう3階天井に設置しています。冷気ほどの直接的な効果を感じることはできませんが、空間全体の温度を均一にすることが目的なので、冬季であれば暖気が溜まり火照る感覚はやや和らぐと思われます。

こうした空調は機械だけを設置するだけでは効果も少なく、充分な気密断熱の性能があってこそ効果が期待できます。

室内は、パインのフローリング、漆喰風塗装の壁でまとめ、暖かみのある落ち着いたインテリアになっています。

製作家具のキッチン。
カウンター高さは一般よりもちょっと高め(90センチ)です。

キッチンを含む水廻りのタイルは目地色もひとつひとつ打合せをしながら決めました。床はビニール床シート。

3階は、階段ホールを挟み部屋が配置されています。部屋、ホールとも畳敷き。ついゴロゴロしたくなる柔らかな一体感がなんとも言えません。

このページのすべての写真撮影:吉村規子


■ 計画概要
敷地面積: 83.54 ㎡
建築面積/建物全体面積: 49.18 ㎡/120.14 ㎡(自動車車庫を含)
最高高さ/軒の高さ: 8.66 m/8.21 m
構造・規模: 木造(在来軸組工法)・地上3階・ベタ基礎(柱状改良)
取得仕様: 長期優良住宅適合

■ 外部仕様/仕上
屋根: ガルバリウム鋼板葺き(バルコニーFRP防水)
外壁: ガルバリウムサイディング・窯業系サイディング

■ 内部仕様/仕上
: パインフローリング(一部ビニール床)
: 紙クロスの上、漆喰塗装(一部ビニールクロス)
天井: 紙クロスの上、漆喰塗装

■ 設備仕様
24時間換気システム: <日本住環境>ルフロ ダクト形式による第3種全般換気システム

・・・ Plan-F アーカイブ。関連記事も合わせて御覧ください

すまいの感想

Plan-F 2年後の感想

  家づくりが始まる前、やっとめぐりあった土地ではあるけれど、本当にこの広さで希望する住まいができるのだろうかと心配していました。実際に生活して2年、機能的でコンパクトにまとまった住まいは私たち家族3人に丁度よく、心地よく暮らしています。

 インナーバルコニーがあるおかげでリビングは実際の広さ以上に空間のゆとりを感じますし、ここにテーブルを出してお昼ご飯を食べたり、娘がビニールプールで水遊びしたり、時には椅子を出して乾杯したりと家で過ごす時間を豊かにしてくれています。それから、家の中に入る光の加減が計算されているなぁとしみじみ思います。好きな点が家のあちこちにあります。

 家の設計をお願いした当初、漠然とした希望のうちの1つが床でゴロンと転がって気持ちがいいことでした。そういうぼんやりとした希望から具体的な細かい要望まで、庄司さんに丁寧に拾い上げてもらい、あちこちに反映されていることが私たちに丁度よく、心地よい暮らしに繋がっていると感じます。ちょっと背伸びした部分があれば、もちろん減額調整で変更した部分もありましたが、結果的に今はどれも満足しています。うんうん悩みながらの家づくりの過程はいい思い出となりました。

 もうずいぶんと私たちの生活の跡がついてきてはいますが、愛着ある我が家を手入れしつつ、いい味になっていくといいなと思います。

2020年9月26日 施主さまから